公ではブランド戦略を、私では地域デザインを。

『壇蜜日記』に触発されて日記を綴り続けた1260日の記録。仕事の新しいプロジェクト対応で日記を中断した2018年4月。公私混合(Work Life Integration)を掲げながらも公私がバラバラになった日記最後の日。ブログのタイトル変更と共に、また、公私混合な日々を取り戻していく。 公ではブランド戦略を、私では地域デザインを。Work Life Integration. Brand Strategy & Social Design.


公ではブランド戦略を、私では地域デザインを。多摩川沿いに住む48歳。2021年の目標は「行動を笑顔で見せる」。未来創造に向けて考動(=考える+動く)し続けると共に、行動を背中でなく、相手に向き合って笑顔で見せる一年にします。

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『僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ』(著:天野春果)


11月14日(金)に開催予定の第15回「こすぎの大学~武蔵小杉で仕掛ける~」の先生役 天野春果さんの著書『僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ』。「こすぎの大学」に先立ち、本書が、11月10日(月)の第55回「こすぎナイトキャンパス読書会」の課題図書にもなったので読みました。




感想を一言で表現すると「秀逸なマーケティング本」。僕もマーケティングという仕事に関わっている一人ですが、本書からの学びは大きかったです。単なるノウハウ本ではなく、マーケティング・プロモーション・ブランディングという「~ing」という現在進行形での、しかも、目的に向かって計算された企画と施策が紹介されており、地域に根ざしたスポーツ文化を創っていくエポックメイカーとしての天野春果さんを満喫できる一冊。

本書の「はじめに」に書かれている天野春香さんの仕事紹介。

川崎フロンターレというプロサッカークラブをプロモーションや広報の立場から発展させ、川崎市を盛り上げること。それが僕の仕事だ。
そのためにホームタウン・川崎市、そこに住む人々、ファン、サポーターをつながりながら奔走して十四年。いつの間にかサッカーマガジンよりも新聞の社会、経済面や市の議事録を読む機会が多くなっている。

2008年に携帯電話の商品企画からマーケティングに担当が変わった時、1年目(2008年)は「携帯電話市場の内側(=携帯電話ユーザを知る)」、2年目(2009年)は「携帯電話市場の外側(=生活者全体を知る)」、3年目(2010年)は「共生・共創という新しいライフスタイル」をテーマに掲げて活動をし、2011年に一年だけ商品企画に戻り、4年目(2012年)は「B with C for Social」というテーマで社会価値創造を探求していた頃の自分と姿が重なりました。今の自分もそうですが、マーケティングの対象である“内側”を見続けているだけでは気づきはあっても、そこに新しい文脈や物語は生まれない。“外側”を知ることで、内側と外側をつなぐ文脈や物語が生まれる。そして、それが社会とつながることで、誰もが大切にし続けたい物語に昇華する。

「仕事」でなく、「志事」。しかも、自分のやりたいことだから「私事」。
天野春果さんをエポックメイカーと表現しましたが、エポックメイカーの方は「志事」「私事」というシゴトぶりなんでしょうね。



<気になったキーワード>


  • 僕の仕事は、川崎フロンターレというプロサッカークラブをプロモーションや広報の立場から発展させ、川崎市を盛り上げること。いつの間にかサッカーマガジンよりも新聞の社会・経済面や市の議事録を読む機会が多くなっている。
  • 「だから無理」ではなく、「だったら何がある?」と考える。
  • イデアは企画の一部でしかない。
  • フロンターレが成功して終わりでなく、他のクラブにも伝搬してスポーツ界全体の成長・共存共栄を願う。
  • クラブ経営は農業である。
  • 「行政」「街」「スポンサー」「サポーター」「ボランティア」「選手」「会社組織」の7つのステークホルダーとの繋がりの深さと濃さがクラブの発展に大きく影響する。
  • 市民クラブの川崎フロンターレ川崎市が推進する事業であれば、シーズン中であっても選手を無償で参加させている。街との関わりは「業務」でなく「活動」。
  • 全国区で有名だった故にホームタウンの川崎に目を向けていなかったヴェルディ
  • 2001年にJ2再降格が大きな転換点に。観客数が激減して「変えていかなければ」とファンサービスやイベントに対して真正面から考え始めるようになった。
  • 必要なのは「なんとかしたい」という気持ちを行動に移すこと。そして、求められた業務を達成させる方法は自分で見つけ出すもの。ポイントは臨機応変と創意工夫。1+1、3−1、√4、すべて答えは2。
  • 交渉する前に実現の可能性を高める準備を怠ったことはない。相手に「Yes」と言わせる最大限のシチュエーションを用意すること。
  • 目的と手段を混同しない。



<構成>

はじめに
序章 算数ドリルのキセキ
第一章 ブームではなくライフ~集客にマジックはない
第二章 シンプルな集客の仕組み~“始まり”をつくり、“終わり”をつくらない
第三章 クラブづくりの鍵を握る七つのつながり~ステークホルダーを活かし、活かされる
第四章 徹底的なマーケティング~集客の鍵は“郷土愛”にあり
第五章 先を読む力となんとかする力~ゴールまで平坦な道はない
おわりに