『思考の整理術~問題解決のための忘却メソッド~』(著:前野隆司)
今年(2013年)の一つのテーマだった「捨てる」を振り返るために『思考の整理術~問題解決のための忘却メソッド~』を読みました。2013年の読み納めの一冊。
半分くらい読んだところで良書と感じたため、「捨てる」ことを学ばせてくれた友人に本書を紹介。しかし、僕が読むスピードが遅く、友人が先に読了してレポートアップ(笑)。友人よりも先に読み終えるという意地を捨て(笑)、またーりと読み続け、大晦日に読了しました。
僕は、小さい頃から情報を記憶するのが苦手でした。
苦手だったエピソードで言うと、学校の試験にノートや辞書を持ち込んで何故ダメなのか?と、よく先生に聞いていましたし、
大学では専攻していたテクニカルライティングの卒業研究で、テクニカルコミュニケーター協会が策定したわかりやすいマニュアルの7つの評価基準として「1.わかりやすい」「2.探しやすい」「3.取り扱いやすい」「4.正確である」「5.役に立つ」「6.魅力的である」「7.ユーザー保護の配慮がある」があるのですが、8つ目の基準として「覚えやすい」を追加提案し、覚えやすいマニュアルの基準を策定したほどでした。
とことん「記憶」を避けていた日々ですね(笑)。
記憶が苦手ではありましたが、小さい頃からノートに記録するのは大好きでした。
なので、上述した、学校の試験でノートや辞書を持ち込んで何故ダメなのか?というのも、正確には、ノートは学んだ成果なのでO.K.で、辞書は学んでなくても回答できてしまうので半分O.K.&半分N.G.という感覚でした。
情報を記憶するのは苦手な僕ですが、誰とどのような体験をし、どのような感情になったかは鮮明に覚えています。
2011年から2年間、毎月開催し続けた「ムサコ大学」でのエピソード。毎回のイベントの内容をよく覚えていますね?と問われた時に、活動を支援してくださっていたYahagiさんが「岡本くんは、先生役の感情を覚えているんだよ。そして、その場の雰囲気、つまり、経験を覚えているんだよ。」と代弁してくださったことがあります。この発言に、自分自身、そういうことだったんだと気づきました。そして、鮮明に覚えている先生役の言葉を綴った「ムサコ百選」。
『思考の整理術』を読了して、僕は、やっぱり情報の記憶が苦手だと再認識しましたし、情報を記憶することの呪縛から解放された気もします。勝手に放棄していた感も否めませんが(笑)。
これからも「体験」「感情」を「記録」しながら、日々の生活を楽しんでいきたいと思います。その点では『壇蜜日記』に触発されて始めた日記。今、66日が過ぎましたが、100日、1年、・・・と記録を積み重ねていきたいとも思いました。
<気になったキーワード>
- 記憶システムの本質は、忘却が成長なシステム思考、幸福と結びつくという以外なダイナミズムの面白さにある。
- 「記憶の時代」から「忘却の時代」へ。
- 独創性を発揮する秘訣は、全体の状況をよく把握した後に忘れること。
- 問われているのは問題発見能力であり、問題解決能力。過去の経験や知識が通用しない場面で頼りになるのは自らの考える力。記憶は時に妨げになる。
- インターネットを通じて簡単にたくさんの情報・知識にアクセスできる現在。たくさんの情報・知識を持っているだけでは、ほとんど価値がない。
- プロ野球のスカウトでも素質の有無はすぐにわかるが、努力をする才能があるかどうかは見抜けない。
- イチローの言葉「努力することを才能と言うなら、僕にはその才能がある」。
- 失敗を糧にして忘れる。
- 年齢を重ね、若い頃のように新しいことを覚える必要性が減少すれば、記憶が苦手になるのも当然のこと。不要になった記憶は時間の経過とともに消去されるのも当然のこと。
- ある心理学者の実験結果。物事を大局的に見ることのできる人は、記憶力が悪い傾向がある。
- 記憶力至上主義も困るが、すべてをコンピュータに任せるコピペ至上主義はもっと困る。
- 問題を解決できないまま先送りにすると、悲しい記憶や辛い記憶は消えないどころが増大する。失敗を失敗のまま残さないこと。
- 記憶の可視化は、文章をまとめるのと似ている。
- どこの世界でも革命を起こすのは志を持つドロップアウト組。
- アイデアを形にする上で必要なのが、リーダーシップ、コミュニケーション能力、人間的な魅力。
- 覚えるよりも忘れることが大切。そのためには「記録」することが役立つ。「書く」ことで、自然と整理整頓できる。
- 記憶に執着せず、細かいことは気にせず、楽観的に生きることが至福を手に入れるためのカギである。
<構成>
はじめに
第一章 「脳」と「記憶」の関係
第二章 忘却のメカニズム
第三章 「忘れる技術」を身につける
第四章 「忘れる力」を生かす仕事術
第五章 忘れるほど生き生きと生活できる
おわりに