イノベーションのジレンマと『もののけ姫』
先日来、報道される家具インテリア大手「大塚家具」の社長解任劇に関するニュース。
旧態依然のビジネスモデルを継続しようとする創業者の父親(会長)、新しいビジネスモデルに切り替えようとする娘(社長)。
【大塚家具】父娘対決、娘の久美子社長が会見「創業者から離れなければ」
報道される度に、2013年7月にスマートフォン事業から撤退するに至った当時のこと、そして、『もののけ姫』を思い出します。
スマートフォン事業からの撤退
携帯電話の商品企画やマーケティングを担当していた僕ですが、2008年7月に黒船と言われたiPhoneが上陸して業界の様子は一変しました。ただし、業界の変化はイノベーター理論のとおり、最初は「イノベーター」(2.5%)だけの僅かな変化。僅かな変化のため、自分たちの周囲で目立った変化が起きている訳ではなく、「日本ではスマホは浸透しない」「iPhoneは一部のユーザーが使うもの」という声が多数を占めて、事業実態は変わらず。その後、アーリーアダプター(13.5%)にも波及し、携帯電話からスマートフォンにリソースを集中させたものの、タイミングとしては逸していたのかもしれません。
結果論としてはタイミングを逸していたかもしれませんが、当時、新しいアプローチでスマートフォン事業での生き残りを模索していた2011年6月に観返した『もののけ姫』。
当時、2012年冬モデルの企画を担当し、ダイバシティに溢れるチームメンバーと共にコンセプト立案に集中していた日々。そして、1→7→1という奇跡を起こすに至ったのが良き思い出です。
ダイバーシティ型企画への転換
http://www.slideshare.net/katuhiko0821/ss-38406343
当時のブログ「DVD『もののけ姫』」より (2011年6月28日)
『もののけ姫』を鑑賞。
1997年の作品。もう14年も経ったんですね...。
感想を問われても、内容よりもドライブインシアターで観たことしか思い出せなかったのですが、改めて観て、感じることが多々あった作品でした。
前半を観て感じたのは、正解しか選択肢がないクイズを出されているということ。
「生きる」「生き続ける」、「伝統を守る」「変化を受け止める」「変化を創る」という正解だけの選択肢。
答えがあるのか?と自分に問いながらの後半。
「伝統を守る」象徴のシシ神様。
崇高な存在で、森の平和を保っている存在であるにも関わらず、首を切られた途端、姿を変えて、自分の首を探すことに執着し、森を破壊。
「伝統を守る」ことに固執し、逆に、それまで慕ってくれていた方々を不幸に。
その後、もののけ姫(サン)は森に戻り、アシタカはタタラ場に。アシタカの「共に生きよう」という言葉と共に、お互いを尊重し、受け止めて、共生&共創のアプローチに転換。
全てが「現時点」の答えとした時に、「未来」を想像して答えを決める覚悟の重要さ、
また、「変化を創る」ことの大切さ、
さらに、その変化はコラボレーション(共生・共創)を通じて創出されることを感じた作品でした。
ソーシャルな時代のイノベーション創出の在り方を予測していた作品なんですかね?